天狗をたずねて

           

雨が降って、土砂降りになってもいい         かさをもっているのだから
風が吹いて、嵐になってもいい 風が弱くなるのを待てば良いのだから
夏の暑さにだって、いい 汗を流せば体が軽くなるから
雪に見舞われても、いい 雪は、こころを真っ白にしてくれるのだから
稲妻が光っても、いい 雷が遠ざかるのを待てばいいのだから
   
道に迷っても、いい 人生、迷ってばかりなのだから
藪を漕いだって、いい 自分の道が開けるから
早く歩けなくても、いい 歩いていれば、山頂につくから
ゆっくり歩けば、いい ゆっくり歩けば、遠くまでいけるから
ゆっくり歩けば、確実に行けるから
ゆっくり歩けば、全てが見えるようになるから
ころんでも、いい 立ちあがって、歩けばいいのだから
足が上がらなくても、いい 神仏に助けてもらうから
怪我をしても、いい 手当てをすればいいのだから
まむしにあっても、いい まむしの気持ちになれば良いのだから
   
アルプスに登らなくても、いい 名もない山の素晴らしさを知っているから
誤解されても、いい それは誤解なのだから
非難されても、いい 間違っていれば、謝ればいいのだから

8月20日
私は、安佐北区小河内 笹が丸の沢筋をヤマメを釣るために、上っていた。
人が入ることが全くないと思われるところで、3匹のまむしに出遭った。
あやうく、まむしをつかみそうになり、悲鳴をあげても、そのまむしは、何食わぬ顔で、動いていた。
(まむしの顔を見たわけではないが)次は、よどんだ水たまりにいるまむしの横を通りぬけたけど、
まむしは動こうとしない。
この沢筋のまむしにとって、人は共生者なのだろうか。

8月27日
私は、菅原道真も通ったと伝えられる日晩峠を歩いた。
かつて、この道は、益田から匹見町澄川を通って、安芸の広島へ向かう往還道だったもので、
明治32年、益田匹見線の秋令道(しゅうれいどう)が開通するまでは、
人の往来が多かったという。 荷車が通れる道幅が続く峠までの200mの間、3匹のまむしを見た。
こちらのまむしは、人の気配で、そそくさと逃げて行った。
まむしは、まむしと人の関係を知っているのだろうか。

自分を大切にする人は、山を大切にし、人を大切にする。
自分を大切にしない人は、山を大切にしないし、人も大切にしない。


                             
やまへいこうか
                           ( 山 行 火  まえだ記